リサール切手集・切手雜感

目的はづれの切手デザイン

日本切手の繪柄について


消印の文字が讀めない切手の例
東川吉嗣

  郵便切手とは何だらうか。郵便切手とは郵政事業を利用する者が、その利用料金を予め支拂ふておき、その證書を貼付することで郵便物などを郵便局の窓口へ持つて往くことなしに、郵便ポストへ投函して郵送申込みを出來るやうにした「前拂ひ證券」である。切手を貼つた郵便物は、その切手を「消印」で汚して無効にすることで郵便物の受付を確認し、その切手が再び使用されないやうにする。この前拂ひ證券は、當事者がいつ買ふたかと言ふことよりも、その證券を貼つた郵便物がいつ受け付けて、郵送行爲の實行に着手したかといふことが意味を持つので、現在の消印には「受付郵便局名、年月日、時間帯」などが表示されてゐる。郵政事業開始の時代においては、單に切手の再利用を防ぐための「券面汚し」でしかなかつた郵便局の消印も、郵便物そのものの差し出し證明になりうることが認められてからは、消印の日付が重要な役割を果たしてゐる。例へば、特許申請においては、郵送した申請書類の郵便消印の日付が申請日とされるので、極めて重要である。從ふて、郵便切手は前拂ひ證券として、額面金額やその切手の發行元が判りやすく、郵便物に貼付しやすい大きさ、扱ひ易さ、それに加へて、消印の文字の讀み易さが大切である。さらに發行者にとつては模造されにくいといふ條件も考慮されよう。
  ところが、何時の頃からか、郵便切手の圖柄や色に消印の讀み易さを無視したとしか考へられない物が多くなつてきた。その著しいのは「記念切手」と稱する臨時發行の物で、消印文字の讀みとりを拒否してゐるとしか思へないものがしばしば見られる。平成十二年現在、毎月一回ほどの間隔で發行されてゐる「二十世紀デザイン切手」は第十七集まで發行が予定されてゐるやうであるが、いづれの券面の繪柄も色が濃くて消印の文字の讀みとりを拒否するデザインである。保存用の綴ぢ込み帳も販賣してゐるところからして、多分に切手としての使用を見込まず、郵趣用の退藏を期待してゐるのだらう。
  郵趣は郵便事業に伴ふ切手、消印、端書、封書、その他の物についての蒐集や研究を樂しむものであるが、飽くまでもその根柢には「目的合理性に徹した郵便事業がある」といふ大前提がある。切手發行事業は、重要な郵便事業の一つであり、郵趣用を當て込むことも肯定されるべきことではあるが、切手本來の使用目的を拒否し、あるいは使用目的にそぐはない物を意圖的に發行するならば、それを蒐集する樂しみは意味を持つとしても、それは「病的な樂しみ」に堕落したものであらう。
  記念切手は本来、記念すべき事柄を周知徹底させたり、強調したりするための手段の一つであるから、一定の期間は客の要望がない限り、通常切手の販賣に代へて、その切手を無制限に賣るべき物であるのに、希少性を狙ふて發行枚數を限定し、積極的な退藏を期待したがため、記念切手はあまり使用されず、使用されないがために實用的な繪柄から遠く離れ、結果として健全な切手蒐集家から輕んじられるやうになつた。往時の切手蒐集熱と比較して、現在の切手蒐集熱は大きく冷めてしまふたことの最大の理由として、「使用に耐えない切手」を發行しつづける郵政當局の「トンチンカンな郵趣サービス」があらう。目的合理性を追求する健全な郵政事業があつてこその郵趣である。
リサール切手集玄關
この網上葉の經過
○平成二十九年四月十四日、電子飛脚の宛先を訂正。
○平成二十二年十二月三十一日、電子飛脚の宛先訂正。
○平成十五年十一月二十五日、携帯電話版を掲載。
○平成十二年九月十五日、掲載。
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